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大言小語 〝場〟を提供する

 今般の社会状況の急激な変化で改めて〝つながり〟を意識する人たちが増えている。飲食店舗の営業時間が制限され、それでも、どうしても直接に会いたいと路上で飲酒するほど、リアルな交流を求めるのはその証左の一つ。意思疎通の方法で注目された〝オンライン飲み会〟は忘れ去られたよう。

 ▼課題の「情報の非対称性」の解消に資する最新技術の「テックサービス」が普及し始めている。秘匿情報で競争優位を得ていた業務方法は通じなくなりそうだ。ただ、これは、新たな「情報の格差」を生み出している皮肉な話になってきた。消費者とサービスの提供者をつなぐ「デジタル・プラットフォーム」(DPF)に多くの情報が集約されているからだ。

 ▼このビッグデータを悪用して、就職情報サイトが内定辞退率の予測情報を販売した事件は、4月施行の改正・個人情報保護法につながった。改正で、提供元では個人関連情報でなくても、提供先の〝名寄せ〟で個人データになる場合に本人同意の確認を義務付け、個人情報には〝つながらない自由〟があると規定した。

 ▼急速に台頭する、人やモノ、コトをつなげるサービスに対する「特定DPF法」など、事業者の責任を明確化させる法制度が措置され始めた。単に、つながりの「場」を提供しているだけ、ではないからだ。責任を持ち、信頼を得て顧客の要望に応えるのは、賃貸借や売買を仲介する不動産取引でも同じこと。