ACALL(以下・アコール、神戸市中央区)は、鹿島建設(以下・鹿島)と共に、働く環境を変えることでストレスの増減や生産性の変化を研究する実証実験に、3月22日に着手した。ACALLの東京オフィス(東京都千代田区)に鹿島が開発した『そと部屋®』を設置。脈拍などのバイタルデータの解析などを4月末まで行う。実験を重ね、ハードとソフトを組み合わせた共同開発のパッケージソリューションなどとして展開する。
現在、オフィスとリモートで働き方を組み合わせる〝ハイブリットワーク〟が浸透する。「くらし」と「はたらく」が融和しつつあるが、働く場所や時間が固定的で一律なままに、生活がないがしろになりがちな点を両社は着目した。
そこで、『そと部屋®』を使う、使わない働き方の違いで生産性や働きやすさ、働く意欲などに違いがあるのかを客観的な指標で分析できるシステムを共同で検証する。
実験で使う『そと部屋®』は、緑などの自然の要素を室内空間に取り組むバイオフィリックデザイン(自然とのつながりを意図したデザインの総称。室内緑化がその一つ)を施して、かすかな環境音や光などの制御で〝五感〟に訴え、健康に生き生きとした状態を実現できるウェルネス空間。鹿島は、『そと部屋®』での休憩のリラックス効果などで研究を重ねてきたが、実際に働くスタッフを介した調査は今回が初めて。
アコールは同室内で、同社が展開するサービスのベースシステム『WorkstyleOS』を活用する(イメージ図)。同サービスは各種のアプリを追加できる。今回の実験では、在席中や外出中、休憩中、在宅勤務・リモートワーク中など、スタッフの働く状況や、利用率などを把握できるアプリを使う。各席にシール状の「QRプレート」を貼り、専用アプリで座席を予約する「ホテリング機能」を使い、チェックイン・アウトを確認する。働くスタッフの身体状況を「バイタルセンサー」で測定する。今後に具体化させるウェアラブル機器とのデータ連携を検証する。
行動変容を促す
アコールは、「データの分析によって、働く人たちの行動変容を促すきっかけづくりや〝気づき〟を提供する仕組みをつくりたい。鹿島や大学などに協力を得ながら、実験を繰り返して知見を積み重ねていく。勤怠管理システムなどとの連携も視野に入れており、パートナー企業を募りたい」(同社取締役副社長COOの吉元裕樹氏)と話す。