売買仲介

不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編51 ~畑中学 取引実践ポイント~ 注意すべきペット飼育制限と駐車場 「管理規約と使用細則」

 区分所有住戸(マンション)の管理規約と使用細則は、買主の購入目的を満たせるかどうかを確認するために必要となる。そのため売買の際には売主から借りるか、コピーをしておき、案内時の説明や重要事項説明書の記載に利用していく。

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 もし、売主が紛失をしていたり、最新のものでないときは、費用が掛かるが管理会社に発行を依頼して最新の管理規約、使用細則を入手した方が無難だ。所有者の利用方法も多様化しているため、管理会社も常に改訂をしている。少し古いが大丈夫だろうと高をくくっていると、最新のものでは利用が禁止されていることもある。誤った情報を買主に伝えてしまうと重要事項説明違反になることがあるので、注意を払っておきたい。また、購入申込みが入った場合はトラブル防止の観点から、買主に直接、管理規約と使用細則を見てもらったほうが良いだろう。

 管理規約と使用細則では(1)専有部分の用途、(2)特定の利用制限(ペット飼育、楽器演奏、リフォーム、民泊利用など)、(3)駐車場など専用使用権の利用方法、(4)共用部分の取り扱いなどを見ていくことになる。筆者が特に注意をするのは(2)ペットの飼育制限、(3)駐車場の利用とその制限の2つだ。

 細かい飼育条件の書かれたペット飼育細則があれば別だが、築年数が昭和の区分所有住戸などに多い大雑把な内容のものだと飼育の可否や想定する飼育方法が、可能かどうか判別がつかないことがある。そのときは買主から動物の種類や飼育方法などを細かく聞き、そのまま管理会社に確認をするのが最善だ。

 勘違いを防ぐため、できる限り買主及び管理組合とは文章(書面)でやり取りをした方が良いだろう。また、「体長が50センチ以内~」など体長体重に要件があるときは現在の体長か、それとも成育時の体長なのかしっかりと確認し判断したい。

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 駐車場の利用とその制限は管理事務室での確認が不可欠だ。先着方式だと昨日まであった空き駐車場が埋まっていたり、逆に抽選方式だと空きがあっても必ずしも入れるとは限らない。また、駐車場が継承不可で、区分所有者や占有者以外は申し込み不可だと、必ずしも購入後に駐車場が確保できない場合がある。管理規約や使用細則を細かく見た上で、管理事務室に入庫方法を細かく尋ね、買主の希望が適(かな)えられるかの判断が必要だ。

 車両の全長や幅などの寸法制限がある場合は、買主から車検証の寸法を確認して入庫できるかどうか判断をしていく。大型車両は駐車区画によっては寸法制限を超過することが多いので、イコール駐車できない可能性が高い、と考えておくとトラブルになりにくいだろう。

【プロフィール】

 はたなか・おさむ=不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。

 2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。