アキュラホーム(東京都新宿区、宮沢俊哉社長=写真)は6月16日、新型コロナ影響下での取り組みをオンライン会見で発表した。受注は低迷したものの、20年2月期通期は過去最高の売上高を計上した。ウィズコロナの施策を進め、従業員の夏季賞与では前年比11%増での支給を実施。21年2月期の売上高では過去最高の更新を目指す。
同社グループの20年2月期通期では過去最高の売上高467億円を記録。営業利益は過去3番目に高い13億9000万円と、好調な業績を残した。ただ、昨年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、受注は対前年比で14%減となった。
一方、コロナ禍の中で、展示場への来場者数は単月の前年同月比で3月が30%減、4月が85%減、5月が92%減。過去に経験したことがない状況という。宮沢社長は「新型コロナを乗り越えるのではなく、ウィズコロナで事業を行っていく。新しい時代の技術革新を踏まえ、企業としてどう進化を遂げていくかが大事。これからの企業活動のあり方を見つめ直すチャンス」と方針を示した。
同社は新型コロナの影響を踏まえ、既存のビジネスモデルを見直している。ロボットを活用した無人展示場システム、オンライン商談、ウェブでの集客、紹介顧客の獲得などに注力した。5月は約9600人の新規顧客が同社に資料請求を行った。今後の営業のあり方について、宮沢社長は「現物を見たいというのは不変の原理原則だが、以前と比べてウェブでの集客が増えた。お客様が知りたい情報を、リアルに提供していけるかが大事」と指摘した。
同社は全社的なコスト削減も推進する。固定費では削減項目の合計で13億円分の合理化を推進中だ。設計・施工、資材の見直しにより、10億円超のコスト削減も推し進める構えだ。また、総合展示場依存からの脱却として、5カ所からの撤退を決定した。
オンライン商談と共に、オンラインプロモーションも実施している。15倍耐力壁を使った基盤商品「大空間の家」の実証実験はウェブでライブ配信し、5706組が視聴した。同商品は性能を向上させると共に、コストの見直しで従来商品に比べ20%減の価格設定を実現した。
受注は回復傾向にある。事業計画比で4月は40%減となったが、5月は20%減の水準にまで回復した。6月の見込み客は前年を上回るペースで推移。21年2月期では売上高で過去最高の更新を狙う。
夏季賞与は11%増
こうした状況を踏まえ、「結果として費用対効果の高い住宅づくりができる」(宮沢社長)との観点から、社員の地道な努力に報いるために、夏季賞与は前年比11%増での支給を実施した。また、アフターコロナを乗り切るための不退転の決意を示すために、取締役は年俸の30%を、執行役員は夏季賞与の20%をそれぞれ自主返上することも決めた。