賃貸・管理

全宅管理 「賃貸管理フェス」が盛況 質を磨き〝選ばれる〟存在へ 管理業法、業務改善など13テーマで

 全国賃貸不動産管理業協会(佐々木正勝会長、全宅管理)は2月4日、「賃貸管理フェス2021―貸主から求められる管理会社になるために―」を開催した。全宅管理の活動を広く対外的に発信するため、これまで対面形式の研修会として実施してきた取り組みで、今回は新型コロナ感染拡大防止の観点から初めてオンライン形式での開催となった。法律・税務、業務改善、保険・保証などをテーマに全13セミナーを用意。今年6月に全面施行される「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の解説など注目度の高い内容に、開催前から定員の1000人を超える申し込みがあった。

 同フェスの特設サイトでは佐々木会長の動画を掲載。20年6月成立の同法によって、賃貸管理業務の社会的地位および従事者に対する社会的信頼度の向上、雇用促進が期待されるとした上で「質の高い業務を実践する管理業者のみがオーナーや入居者から選ばれ、適正価格での管理報酬の推進が図られるようになる。必要な知識や情報を吸収するための多種多様なセミナーになる」とあいさつした。

 セミナーでは、国土交通省不動産・建設経済局参事官の倉石誠司氏が賃貸住宅管理業法の重要項目を解説した。登録制度に関する論点を中心に、賃貸住宅管理業者の登録要件や管理戸数の確認方法、賃貸住宅管理業者に課す義務について説明。今年6月18日までに施行される法律(管理業受付開始)を前に今春から実施される講習のスケジュール感や、現行の大臣告示に基づく登録事業者が新法に基づく登録を受ける際の特例措置なども案内した。

 佐藤貴美法律事務所の佐藤貴美弁護士と全宅管理専務理事の岡田日出則氏は、賃貸住宅管理業法施行に伴う実務上の留意点やポイントを解説。管理業務をめぐるトラブルの増加など新法成立の経緯や、対象となる2つの取引形態(サブリース方式、受託管理方式)の要点を整理し、家賃の減額リスクなど貸主にどのような説明が求められるかなど分かりやすく説明した。

 佐藤氏は「サブリース方式(特定賃貸借契約)において、サブリース業者は借地借家法上の借主に該当する。本法律上でも貸主からサブリース業者に対する解約申し入れの際には正当事由を要する」と重要点を指摘。登録制度に関する管理戸数の数え方や、配置が必要となる業務管理者の異動・退職の際の対応など、より実務に即したケースについても意見を述べた。結びに岡田氏は「『住まう』に、寄りそう。」を掲げる全宅管理のスローガンに触れ、「地域密着型の不動産店の強みを生かし、賃貸住宅管理業務の高みを目指す」と決意を語った。

 このほか、アフターコロナに向けた外国人賃貸(講師・グローバルトラストネットワークス)や孤独死・風水害対策(同・宅建ファミリー共済)、相続対策(同・税理士法人柴原事務所)についてもセミナーが行われ、質の高い賃貸管理業務の実践に向けた有意義な1日となった。