家賃保証事業のCasa(カーサ、宮地正剛社長)の21年1月期決算は、売上高102億2600万円(前年同期比8.4%増)、営業利益10億3100万円(同32.3%減)、純利益6億1100万円(同34.1%減)の増収減益となった。コロナウイルスの影響による貸倒引当金の積み増しをはじめ、代理店手数料の増加、システム関連投資の増加が影響したという。
3月17日に開かれた決算説明会では冒頭、宮地社長が反社会的勢力との関係およびパワーハラスメントについて報じられた件について言及。外部調査委員会による調査の結果を公表済みとした上で、「そのような事実が確認できなかったことを改めてご報告する。ただ、私自身意識を変えて、社内外の信頼回復に努めたい」と述べた。
同期における代理店社数は9942社(同956社増)の大幅増加となり、新規契約件数(初回保証料)は13万7147件(前年同期比6.9%増)と堅調に推移。このうち不動産オーナーの自主管理をサポートする主力商品の「家主ダイレクト」の新規契約件数は4万1419件(同47.5%増)と好調に推移した。コロナ禍の影響を受けた賃借人に対しては、公的支援制度の案内を優先し支払い猶予に応じるなど、顧客に応じたサポートに努めたという。
小規模代理店を強化
22年1月期は、売上高103億2300万円(前年同期比0.9%増)、営業利益8億3200万円(同19.3%減)、純利益4億8900万円(同19.9%減)を計画する。手数料率が高騰している大手代理店の見直しにより、新規契約件数は12万8000件(前年同期比約9000件減)と減少見込みだが、採算性の高い小規模代理店を増加し、代理店社数1万1298社(同1356社増)を目指す。基幹システムの刷新によるコスト削減や、コンプライアンス体制の強化も図る。
宮地社長は、新築の供給不足やコロナ禍による引っ越し需要の減退に触れ、大手代理店の競争環境の激化を指摘。「当社の代理店約1万社のうち1万戸以上を管理する大手は1割程度だが、売上構成比率の約6割を占める。大手は入退去のタイミングで得ていた様々な収益機会を失い、その減益部分を保証会社などへの手数料に求めるが、あまりにも過熱している」と取引先選定の理由を説明した。
また、宮地社長は管理会社側から築古物件の家主との契約を終了しているケースなどを指摘した上で、「自主管理を望む個人家主のニーズはある。資産承継のタイミングでもあり、この自主管理市場を開拓していく」と述べた。具体的には小規模代理店を増やすためのオンライン商談を確立すると共に、「家主ダイレクト」をオンラインで拡大し、セミナーや影響力を持つ家主へのマーケティングを強化していく構想だ。
カーサ
決 算 21年1月
売上高 102.2億円 (8.4%)
営業利益 10.3億円 (△32.3%)
経常利益 10.9億円 (△30.9%)
当期利益 6.1億円 (△34.1%)
予 想 22年1月
売上高 103.2億円 (0.9%)
営業利益 8.3億円 (△19.3%)
経常利益 8.5億円 (△22.0%)
当期利益 4.8億円 (△19.9%)