今年7月1日に国土交通事務次官に就任した山田邦博氏=写真=は8月6日、専門紙の合同インタビューに応じた。就任の抱負や今後の方針について聞いた。
ーー就任に当たり抱負を。
頻繁化する自然災害をはじめ、新型コロナで苦労している産業支援、DX促進、脱炭素など課題は様々だ。国交省は国民生活に密着した行政として、国民目線での対応が重要だ。仕事の進め方は、「明るく楽しく一歩前進」をモットーに、創造性と、周囲との協調性が重要だ。結果を出すことで、次へ取り組む意欲を高めたい。
ーー防災・減災対策の展望は。
昨年12月、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定された。令和7年までの5年間で全体として15兆円、国交省では9.4兆円の事業規模をめどに、流域治水をはじめ、道路ネットワーク機能の強化や予防保全型インフラメンテナンスへの転換など、53の対策を重点的、集中的に実施していく。
大臣プロジェクトの「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」では昨年7月に第1弾をとりまとめ、「国民目線」をキーワードに10の施策パッケージをつくった。今年6月の第2弾では、高齢者を含めた災害弱者の住民避難や災害時の輸送の確保という2点を重点推進政策とした。今年も既に出水期に入っており、施策の着実な実施とブラッシュアップを図る。
ーー「カーボンニュートラル」実現に向けた住宅分野の方針は。
日本のエネルギー消費量の約3割を占める住宅分野。省エネ性能の向上や再生可能エネルギーの利用拡大は極めて重要だ。今年4月に、経産省、環境省と合同で立ち上げた検討会では、25年に新築住宅の省エネ基準への適合義務付けについて確認。再生可能エネルギーの更なる活用の必要性についても議論が進められている。今後も各省庁と連携を図り、省エネ対策の強化を実行に移していく。
ーー賃貸住宅管理業法に関して登録状況と、今後の運用課題は。
昨年6月に賃貸住宅の管理業務等適正化に関する法律が成立。同12月にサブリース契約の適正化に係る措置、今年6月に賃貸住宅管理業者の登録制度が施行された。
登録に際して講習の受講が必要だが、今年7月31日現在で登録事業者数は385。約7割が電子申請を活用した登録だ。業務管理者に必要な講習ではeラーニングも活用しており、今年5月の開始から2カ月で4万人を超える申し込みがあった。今後も電子申請やeラーニングを活用し、早期の登録を促していく。制度の趣旨や内容について事業者やオーナーに周知を図ると共に、制度の適切な運用に向けて、関係団体や行政機関との連携も強化していく。