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PLTが分譲地で実証実験 モビリティ活用のタウンサービス 23年以降の事業化を検討

 プライムライフテクノロジーズ(PLT、東京都港区、北野亮社長)はモビリティを活用したタウンサービスの実証実験を進めている。6月~8月に兵庫の分譲地内に移動サービス車などを配置し、街の活性化やコミュニティ形成のきっかけづくりを検証した。同サービスによる取り組みを「プライムマルシェ」と命名し、10月~11月も千葉や愛知で実証実験を継続。22年には街開きを行う大阪や埼玉の分譲地でも検証を進め、23年以降の収益事業化を検討する。

 PLTは20年1月にパナソニックやトヨタ自動車が設立した。グループ企業としてパナソニックホームズ、トヨタホーム、ミサワホームのハウスメーカーがある。山下健まちづくり事業企画部担当部長兼サービスデベロップメント室室長は「街づくりで他社と差別化できるコンテンツをつくりたい」と説明する。モビリティを活用した「プライムマルシェ」は都心と郊外でのサービス格差やコミュニティ希薄化の解消、レジリエンスなどをコンセプトに持つ。

 同サービスの分譲地における実証実験は毎週土・日曜日に行った。6月19日~8月8日に、パナソニックホームズの分譲地「スマートシティ潮芦屋『そらしま』」(兵庫県芦屋市)で実施。10月30日~11月28日には、トヨタホームの分譲地「オーサムガーデン」(千葉県白井市)、11月13日~21日にはトヨタホームの分譲地「ミヨシミライト」(愛知県みよし市)でそれぞれ実施した。戸建て建設予定地でキッチンカーの出店、地元からの出店、水素自動車による給電デモンストレーションなどを実施した。

 最初の取り組みの「そらしま」では総来場者数が2901人。山下室長は「来場者からコミュニティづくりや街の活性化につながると言っていただき、考えていた以上にニーズが見えた」と語る。いずれの分譲地でも地元の出店ニーズを感じたという。山下室長は「コミュニティ形成ができるような住民参加型は非常に重要なコンテンツ。ワークショップの要素も入れて、皆がにぎわう形ができるのでは」と手応えを述べる。

 一方、サービサーの商品やサービスのつくり込み、マーケティング、プロモーションといった消費者との情報接点としての活用も有力だ。「オーサムガーデン」ではトヨタの高級車「レクサス」の車両にデジタルペインティングができるイベントを開き、好評を博した。今回はプレースホルダ社(東京都品川区)のデジタル技術を生かした企画であり、今後も「レクサス」を軸に様々な企業とのコラボ企画を進めていく。

都市と郊外を比較検証

 22年には大阪府吹田市でパナソニックなどが取り組む多世代居住型健康スマートタウン「Suita サスティナブル・スマートタウン」、トヨタホームが参画する街づくりプロジェクト「ブリッジライフプラットホーム構想」(埼玉県久喜市)で街開きが行われる。吹田では戸建て建設予定地ではなく、公園を用いて継続的に年内の4期間、大型企画を運営する。

 吹田は都市型、久喜は郊外型と比較しやすく、「様々な場所で『プライムマルシェ』が活用できるか、見極める」(山下室長)方針だ。22年の運用検証を踏まえ、過疎地での「プライムマルシェ」運用、場所貸し手数料の設定など、23年以降の収益事業化を検討する。