政策

22年度予算案、国交省は5.8兆円 防災、コロナ回復を柱に 補正予算活用、切れ目ない施策へ

 政府は21年12月24日、総額107兆5964億円となる22年度予算案を閣議決定した。国土交通省関係は、一般会計で前年比0.99倍の5兆8508億円。予算編成の柱として、「国民の安全・安心の確保」「社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」「豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり」の3点を据えた。

 閣議後の会見で、斉藤鉄夫国土交通大臣は予算配分の重点について「激甚・頻発化する自然災害とコロナ危機を乗り越え、ポストコロナの『新たな資本主義』を実現するため」と説明。昨年12月20日に成立した21年度補正予算と合わせ、「切れ目なく取り組みを進める」と述べた。

 個別事業の予算を見ると、ポストコロナを見据えたまちづくりと、そのデジタル化に比較的手厚く配分がされた。具体的には、デジタル田園都市国家構想の実現に向け、新技術や官民データを活用する「スマートシティの社会実装の加速」に15億円(前年比4.98倍)を計上。モデルプロジェクトや3D都市モデルの整備・活用の補助制度なども創設する。更に21年度補正予算では21億円を計上しており、まちづくりのDX化を加速させる狙いだ。

 「コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進」では、前年度当初予算と同額の780億円を計上。21年度補正予算の72億円と合わせ、防災・減災、〝ウォーカブル〟なまちなかづくりを進める。また、二拠点居住やワーケーションなどに関連した「個性ある多様な地域生活圏の形成」では230億円(前年比1.09倍)を計上する。

 国交省関係予算の中では、3本柱の「国民の安全・安心」の規模が大きい。個別事業では、「流域治水」の本格的展開に5204億円(前年比1.03倍)、土砂災害対策の加速化・強化に997億円(同1.05倍)を計上。どちらも21年度から拡充し、同補正予算分も活用する。

 また、「経済好循環」の柱の中では、「ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化」に1113億円(同1.09倍)を計上するなど、〝成長の軸〟に掲げるグリーン化推進への積極姿勢がうかがえる。

不動産DXへ環境整備

 不動産分野では、所有者不明土地等の対策推進に1億700万円(前年比1.26倍)、不動産市場の環境整備に1億1800万円(同1.2倍)と、それぞれ増額した。後者では「不動産IDの利活用促進・情報連携促進に向けた検討経費」(22年度予算1600万円)を新設。また、不動産取引環境の整備に4800万円(前年比1.85倍)を計上し、宅建業法上の契約書面の電磁的方法による交付に対応していく。