旭化成ホームズは4月から、戸建て、賃貸住宅を対象にDXを用いた太陽光パネル施工管理システムの試験運用を開始する。これは親会社である旭化成とのグループ共創によるボルト管理システム(特許出願中)。超音波を活用してボルトの締結を判定し、AI音声対話アプリで施工済み箇所を確認する。DX化により施工精度の向上と省力化を図る。
通常、太陽光発電システムの施工には建設技能者の経験と技術が求められる。DX化を進めることで、施工品質の向上と熟練の建設技能者不足への対応を図る。
超音波を用いたボルト締結 判定では、独自開発のシステムを組み込んだインパクトレンチ(ボルト締め器具)を使用する。ボルトを締める際に発する超音波を内蔵システムが判定し、適正な締結音に達した時点で工具は自動停止する。締めたボルトの数や時刻の記録は自動的にクラウド上の顧客データベースにアップロードされエビデンスとして残す。この仕組みには旭化成のデジタル共創本部の技術が生かされているという。
AI音声対話アプリを用いた施工済み箇所確認判定では、同アプリをインストールしたスマートフォンのウェアラブル端末のブルートゥース(近距離無線通信)マイクに「締め付け完了」と話しかけると、同アプリとの会話が始まる。会話を通して「いつ・誰が・どこのボルトを締めたか」の情報が自動的にクラウド上に記録される。ボルト締めには、仮固定・本締め・目視・ボルト1本ごとのマーキングといった作業工程があり、同じ施工箇所を何度も回る必要があったが、新システムの活用で一回りでの施工が可能になる。また、施工後のボルト締めの適正さは、専門資格を持った検査員が目視検査を行ってきたが、その作業も省かれる。
4月からの試験運用は神奈川エリアの一部の施工店で開始。半年間の試験運用を経て、施工エリアを順次広げていく。
施工エリア全体で新システムが本格活用された際には、検査員の作業省力化の面で年間4000万円程度のコスト削減を見込む。