不動産テック協会(東京都渋谷区)は、不動産と最新技術を融合する「不動産テック」の主要サービスを一覧表示した『カオスマップ』の最新版(第8版)を8月8日に明らかにした。同日に東京都内で開いた発表セミナーで、同協会代表理事の巻口成憲氏(リーウェイズ社長)は、一部サービスで「淘汰(とうた)も始まっている」との見解を示した。
第8版では、分類方法を細分化などで変更し、現状で未提供の各種サービスを削除するなどして、総サービス数430で示した(図参照)。
前回第7版の発表時に、不動産テックサービスの現状を「成熟期」と表現していた巻口代表理事は、「浸透し始めた背景や社会状況の変化を要因に、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、空間を共有活用するスペースシェアリングの各サービスが伸長した。新たな資金調達手法のクラウドファンディングの新規参入も増えた。競合サービスと差別化できず、稼働休止のサービスもある。不動産テックの一部サービスで淘汰が始まり、競争の激しさを感じる」と言及。今後は、「仮想空間のメタバースやデジタルツインに注目したい。法務のリーガルテックや、保証のローンテック、暮らしのライフテックなど、複数のサービスが連携していく。不動産業務に特化したエージェント向けサービスが出始めている。不動産事業者自体がテックサービスを開発する場面が更に増えていく」との見解を述べた。
続くパネルディスカッションでは、川戸温志氏(NTTデータ経営研究所シニアマネージャー)、同協会理事の浅海剛氏(コラビット社長)、同協会代表理事の滝沢潔氏(ライナフ社長)が加わり、各氏の発言の要旨で、「テックサービスの活用に不動産事業者の抵抗感が下がった。ただ、各社のDX推進部署と経営層、現場との間で、認識に〝温度差〟がある課題感を聞く。テックサービスに対する一般車消費者の需要が一層高まり、デジタルツール導入の現在の量的な変化から、今後は質的な変化となる。データの活用でビジネスモデルや組織を変革するDXが本格化する。本来の目的である顧客への〝提供価値〟が大きく変化していく」と展望した。