住宅価格の高止まりや、所得が伸びずにその格差が広がり、新築に加えて中古物件も〝高嶺の花〟になってきた。比較的に低所得な層にとって住宅ローンの壁は一層険しく立ちはだかる。不動産営業担当者にとっても業務負荷が増している。住宅ローン手続き業務の代行サービスを活用すれば、限られた時間や期間内に最短でゴールに到達する有力な手段になりうる。
いつかは住まいを購入したいと願うのは一般市民の願いの1つ。夢を叶えるために一般的に住宅ローンを使うが、金融機関の審査が通りやすい高所得者や新築物件だけではない。比較的に低所得な層や物件の特殊条件が重なると審査が厳しくなる。不動産営業担当者の業務負荷も増す。
標準化と平準化で
住宅ローン手続きの支援業務は経験やスキルを生かせる場面でもある。その強みで成果を出し続ける不動産営業担当者は少なくない。しかしその経験は属人的で再現性がなく、店舗全体としての標準化や平準化を図るのは難しい。
住宅ローン商品は1万種類を超える。期間限定の優遇金利商品やネットバンクを加えれば膨大な数に上る。商品知識を得て、随時に情報を更新するのは至難の業になる。ただ、これらに習熟して適切な商品を提示できなければ、住宅購入検討者の高揚感や満足度が下がりかねない。仮に審査が通っても難しい案件ほど相当の時間や期間が掛かる。
限られた時間内に
金融機関は土日休みで営業終了時間も早い。住宅購入検討者は平日は仕事に集中し、土日にやり取りしたい。不動産営業担当者は水曜日と別の曜日に休む。3者3様のすべての都合がよい日程は限られてくる。その間を縫って住宅ローン手続きを進行すれば、内見の案内や新規顧客開拓の時間が犠牲になりうる。
大手企業のように住宅ローン手続きの専門子会社を抱えれば、運営や研修コストがかさむ。直接の収益を生まない専門部署を設置までして担当者を雇用しても、人件費が掛かり、能力育成に時間を要する。最重要な業務といっても過言ではない住宅ローン手続きの支援ではあっても、それは目的ではなく、成約が最終目標のはず。そこで、業務代行サービスの選択肢がある。
専門の道先案内人
業務代行を例えればこうなる。登山家(不動産購入検討者)は仮に歴戦者でも1人で登るのではない。同行者(不動産事業者)やシェルパ(業務代行事業者)のチームで登頂する。シェルパは荷物運びだけが役割ではない。数多くの経験を重ねて天候、岩肌や雪面の微妙な変化を体感で的確にとらえ、教科書にはない深い知識から道を案内する。
住宅ローン手続き代行サービス『いえーる ダンドリ』を提供するiYell(東京都渋谷区)は、住宅ローンの専門家が日々専念して従事し、月約1000件の問い合わせや手続きに携わる。知見を蓄積して共有し、1人が得る知見よりも全体としての〝経験値〟が高い。数多い経験を元に、金融機関ごとに異なり非公表でもある審査基準のニュアンスを把握した上で金融機関に近い視点から、最適な商品の提示を実現している。
同社社長室 室長 Franchise Office Office長の石川仁健氏は、「自身も不動産仲介会社のプレイングマネージャーで年25~30件の成約実務の経験がある。休暇中でも金融機関や顧客との対応が入り、進行などの難しさを知っている。現職に転職してサービスを提供する思いは、その変革のお手伝いをしたいためにある」と話している。