桜木町から、無数の酒場が並ぶ野毛小路をまっすぐ5分ほど歩くと、通称、野毛キャバレー「うっふ」の隣に、野毛好きの間では知られた立飲処「桐のや水産」が目に入る。元々魚屋だったが高級鮮魚のニーズがなく、13年前に鮮魚販売場を立飲酒場にしたという、道に開放されたスペースだ。隣の「魚料理 桐のや本店」は、新鮮な魚料理を手頃な価格で出す料理屋だ。サイトには「日本一の漁獲量を誇る千葉の銚子漁港。毎朝銚子に出向き、旬の海鮮を漁師から直接仕入れます。朝獲れ鮮魚をその日にお客様にご提供致しますので、すべて刺身で食べられる天然もののみ」とある。そして立飲処「桐のや水産」は本店よりさらに安い。
立飲みだが、酒も料理も美味くて安い。日本酒(半合グラス)で豪快・亀齢・紀土300円、澤屋まつもと400円、その他、麦酒・ウイスキー・ハイボール(特製の「野毛うまハイボール」)ホッピー・ワイン・焼酎・サワー類・泡盛など揃えているが、クラフトビールも充実している。スプリングバレー、ブルックリンラガー、日本各地のクラフトビールも揃えている。料理は黒板書きの「本日のお品書き」、先日訪れた時には、刺身はひらめ・ほうぼう・たい300円、鯛かぶと煮500円、魚の南蛮漬け・鶏のから揚げ・ちくわの磯部揚げ・ハムカツ・もつ煮込み・自家製ぬか漬け・スパゲティサラダ・もつカレー(名物らしい)がいずれも小皿300円。このクオリティーは、隣の本店で仕入れ料理されたものを出しているのだろう。筆者も「野毛ラバー」の仲間たちと飲み歩きツアーをする集合場所として、ここで待ち合わせることも多い。さしずめ、野毛のウェイティングバーだ。集合時間よりも早く着き、たまたま飲んで仲良くなった人が「ツアー」に加わることもある。こんなことも「解放区」野毛ならではだろう。 (似内志朗)