東葉高速鉄道と新京成線が交わる北習志野駅前(千葉県船橋市)で募集されている「リビオシティ船橋北習志野」(全488戸、うち募集対象外住戸265戸)がほぼ完売となった。募集対象223戸のうち残るは2戸のみ(24年8月20日現在)。間取りは3LDK(約68m2~72m2)で販売価格は約5300万円~5500万円。
ここはUR分譲団地の建て替え事業で日鉄興和不動産、三菱地所レジデンス、東京建物、長谷工コーポレーションの4社による共同プロジェクト。建て替えには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要だが、建物の老朽化(築57年)が進んでいたことと、駅前という立地が功を奏して建て替え事業としては比較的短期間で合意形成に至り着工にこぎつけられたことが地元の話題となっていた。ただ従前居住者が権利変換で引き続き居住するためには4300万円程度の追加資金が必要になるという。
引き渡しは来年5月の予定だが、地元商店会はこれを機に街の再活性化に向け動き始めた。北習志野は1996年に東京都心(日本橋・大手町)と直結する東葉高速線が乗り入れてから東京近郊の住宅地として急速に発展。08年には駅前ペデストリアンデッキも整備されたが、駅前としての個性には乏しく、なぜか商店街としての庶民的賑わいにも欠けている。
そこに危機感を覚えた地元の4つの商店会が企画主催した「きたならマーケット歩行者天国」が8月25日(日)開かれた。これまでも市民祭りなどは行われてきていたが、今回は地元商店会が一致団結し、千葉工業大学創造工学部デザイン科学生らの協力も得るなど本腰を入れた催しとして注目された。第1回目の今年は〝子供を笑顔にする〟がテーマで、小学生限定の「ガラポン抽選会」、和太鼓チームの演奏(写真1)、船橋東郵便局協力のもと赤いバイクに乗っての撮影会(写真2)などが人気を集めた。
若手経営者
キッチンカー10台、フリーマーケット、約30の物販・食販店が車道に並ぶ。その中には地元法人会と千葉県中小企業家同友会合同の出店もあった。テントを覗くとスタッフはみな若い。その中に筆者の知るパルホームサービスの岩井勇大社長の姿もあった。岩井氏は船橋商工会議所青年部にも属し、北習志野をなんとか活性化しようと日頃から精力的活動を行っている人物だ。
パルホームは北習志野駅前にある不動産会社で賃貸仲介・管理、相続相談などが中心。現会長の田尻敬子氏が、東洋高速線が乗り入れる2年前の94年に創業し今年30周年を迎えた。岩井氏は社員として働いていたが5年前に社長に就任。田尻氏の親族ではないが「地元を愛する熱意と行動力を見ていて社長を任せたいと思った」と田尻氏は言う。二人は血のつながりこそないが、まるで祖母と孫のように息の合ったところを見せている。街の活性化は地元を愛する若い経営者らの覚悟からしか生まれない。「地域と共に歩む」という創業者精神を引き継いだ岩井氏の覚悟は固い。