総合

不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編59 ~畑中学 取引実践ポイント~ 測量図を基にセットバック 「前面道路が42条2項道路の場合」

 前面道路の建築基準法上の取り扱いが42条2項道路の場合は、(1)測量図を作成し(2)中心線を判定(3)セットバックのラインを割り出す(セットバック面積を出す)ことが必要となる。売買不動産が土地ならほぼ必須。一戸建てでも再建築の可能性があるなら必要と言えるだろう。調査をして42条2項道路と判明した場合は、かかる費用とスケジュール感を踏まえて作業を進めていこう。

   ◎  ◎  ◎

 42条2項道路とは、建築基準法の42条2項に記載された内容で、幅員が4メートル未満の道路を指す。建物を建築する際には、道路の中心線から2メートルセットバック(後退)し、将来的に前面道路が4メートルの幅員を確保することで、建築基準法上の道路とみなすことができる。

 そのため、建築することが前提の場合は、セットバックは必須となる。あくまでも中心線から2メートルのセットバックであるため、幅員が4メートルありそうな場合でも、セットバックが必要なこともあるので油断しないようにしたい。

 さて、まずは(1)測量図の作成となる。土地家屋調査士に依頼をして測量図を作成してもらう。現況測量図で構わない。確定測量図の依頼をしていたとしても、早めに現況測量図を出してもらう。当然、作成費用はかかるので、売主に事前に説明しておく。状況にもよるが1カ月弱あれば前面道路を含めた現況測量図が作成される。

 続いて建築主事のいる市区町村役場等にて(2)中心線の判定をしてもらう。作成した測量図の他に依頼主や土地所有者などを記載した概要書、住宅地図、公図など必要書類をそろえて提出すれば、こちらも1カ月弱ほどで42条2項道路の中心線を書き込んだ測量図等が交付される。現地の前面道路にもペンキなどで中心の位置がマーキングされる。

 なお、中心線判定の必要書類はホームページを見れば、丁寧に説明されているので自分たちで手続きする場合はよく読んでおこう。土地家屋調査士に費用をかけて手続きを依頼しても構わない。(1)と(2)を通して依頼をすれば時間も短縮できるので、急ぐ場合は土地家屋調査士に速やかに依頼しよう。

 最後は、判定図を土地家屋調査士に渡して(3)セットバックラインを割り出してもらう。同時にセットバック面積と有効宅地面積も算出してもらう。有効宅地面積が分かれば建築面積などもハッキリするので販売活動に入ることができる。

   ◎  ◎  ◎

 以上が前面道路が42条2項道路の場合の対応だ。よほどその土地が欲しくて公簿売買でOKという買主以外は、セットバックラインを出しておかないと検討外になる可能性があるので、売れる商品にするために手続きはしっかりしておこう。

【プロフィール】

 はたなか・おさむ=不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株)代表取締役。

 2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。