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大言小語 望ましからざる変化

 今夏は猛暑のあまり、本欄で事あるごとに手を変え、品を変え、気候変動と己の身体の老化を嘆いていたような気がしてならない。いくら書いても書き足りないほど、こうした現象に絶えず衝撃を受けていたのだろう。 

 ▼いつの間にか夏やおろか秋の訪れもあまり実感できないまま過ぎ去りつつある。急激な気温の変化に身体が順応しきれず、しっかり体調だけを崩す有様だ。以前は、残暑が厳しい折でも冷たい麦茶より熱い緑茶がおいしく感じられる瞬間に気付くなど、ふとした拍子に季節の変わり目を察知していた。あれは若者の特権で、鋭敏な故の無頓着さだったのか。

 ▼いまや、どれほど気温が下がっても、動いた後の発汗がすさまじく、いわば空調が壊れっぱなしの身体を持て余している。日々、何を着れば良いのか、〝おしゃれ〟とは程遠い観点で頭を悩ませる羽目に陥ることなど、若かりし頃には想像もしなかった。季節感とはすっかり縁遠くなってしまった、と思っていたら、最近、非常に不本意な形で、季節の変化に気付かされた。

 ▼ニュースで痛ましくかつ恐ろしいクマの被害が目にする機会が最近、とみに増えた。確かにクマとは秋にたらふく食べ、冬眠する獣だと図鑑などで知ってはいた。そして少し前、割に目にしていたエアコンの室外機窃盗のニュースはいつの間にか見なくなった。季節の意味もまた、変化してしまったようだ。