不動産テック協会(東京都渋谷区)は、ビジネスマッチング部会を開催し、「シェア」や「調達」、「無人化」のそれぞれを軸とした最新のテクノロジーを生かした各種サービスを紹介した。
NOT A HOTEL(東京都渋谷区)は、従来のホテル以上の体験価値をコンセプトとして、ホテルの所有権を分割してシェアで販売している。購入者は、各地で展開する同社ブランドのホテルを相互利用できる。使いわない日は、ホテルとして貸し出せるビジネスモデルを構築している。
同社グループ会社のNOT A HOTEL2nd代表取締役CEOの江藤大宗氏は、「土地活用の企画段階の物件完成前に、精緻な完成予想図のCG(コンピューターグラフィックス)で訴求して販売する。その販売額を原資として、デザイン性などに優れた物件を開発する。オーナー向けのアプリや管理ツールに最新テクノロジーを活用し、利便性を高めている」と紹介した。同社では大手ハウスメーカーなどとも協業しており、今後は海外に進出する。
MOZU(東京都港区)は、住宅設備機器などの建築資材で共同調達の仕組みによる「規模の経済」を生かしたデジタル取引を支援している。一人親方や小規模な工務店が通常は直取引が難しい大手メーカーや大手一次商社からでも、大手企業と同等価格で比較的に安価に購入できるビジネスモデルを構築している。
同社代表取締役CEOで、不動産テック企業・イタンジ(東京都港区)前代表の野口真平氏は、「小規模な工務店と、大手メーカーをつなぐ会員制のプラットフォームサービスを提供している。現状の一般的な取引では、様々な中間業者が介在し、商流の違いによって同じ製品でも異なる価格で販売されている。情報の非対称性が大きく、特に中小規模の工務店は、調達価格の影響で利益率が圧迫されている。当社では、人的な取引の手間を限りなく省き、デジタル技術で自動化することで、迅速な見積もり金額の提示も実現している。指定場所への配送などアフターフォローも充実させている」と紹介した。
GRApP(グラップ、大阪市中央区)は、民泊やアパートメントホテルなどの宿泊施設の運営代行サービスを提供している。同社ベトナム支社のスタッフがフロント業務を担うほか、最新テクノロジーを生かした運営の無人化を実現している。
同社代表取締役の衣笠達也氏は、「これまでは難しかった小規模な用地や変形な用地でも、宿泊施設の出店を可能にする開発に関わる全般的なコンサルティングを手掛けている。無人化が可能になった改正旅館業法に基づく運営を実現しており、大手ハウスメーカーの設計・施工によるアパートメントホテルの運営代行などで事業展開している」と紹介した。