9月15日~17日に「不動産&ホテル投資フォーラム2020」を開いたJLL(日本本社=東京都千代田区)。同フォーラムは商業用不動産とホスピタリティ資産への投資をテーマとしている。各日のテーマは初日のオフィスに加えて、2日目が不動産投資市場、3日目がホテルマーケット。各テーマに関してパネルディスカッションも開かれている。
不動産投資市場における20年上期の地域別投資割合では、東京都心5区が30%台半ば。一方、関西圏は14年以降右肩上がりを続け20%に迫るが、大阪への投資姿勢について、JLLの関西支社でリサーチディレクターを務める山口武氏は「外資はポジティブで、日系は今後の厳しさへの不安があると感じる。長い時間を掛けて、東京への一極集中が進み、地方都市は大阪を含めて一つのくくりとなり、日系は慎重な見方になりやすいのでは」と分析した。
同市場における総体的な今後の物件の価格動向を踏まえ、アクサ・リアルエステート・インベストメント・マネジャーズ・ジャパンの早藤嘉彦代表取締役は「上がるということはあまり考えられないが、それほど下がるとも思わずに、淡々と購入していきたい」と述べ、イデラキャピタルマネジメント西日本オフィス責任者の土橋賢治氏は「もう少し下がるかと思っていた。物流などは上がっている。コロナ以前には、さすがに高いと思っていた物件が少しずつ適正な価格に近づき、売りに出てくる物件もある。関西はインバウンドで盛り上がったエリアのリテールが、個人的には崩壊状態だと思う。次のテナントは何かを考えるようにしている。ただ、総じて価格はあまり下がっていない印象」と説明した。
一方、ホテルの売却・購入の分析では、フォートレス・インベストメント・グループ・ジャパンのマネージング・ディレクターである山本俊祐氏は「ホテルのバリュエーション(価格形成要因)のピークは6年程度のサイクルで来ると、よく言われる。パフォーマンスの前回のピークは16、17年だったのではないか。その後、キャップレート(還元利回り)の低下が続いた。現在は売り時ではない。購入ではいいものがあればいつでもというスタンスはサイクルのどの時点でも変わらない」と説明した。また、グリーンオーク・インベストメント・マネジメント常務取締役マネージング・ディレクターの田邊学明氏は「我々のような(物件に付加価値を付けて積極的に収益性を高める)バリューアッド型のファンドにとっては買い時」と言及した。