建設プロジェクト管理のクラウド型サービス『ANDPAD』を運営するアンドパッド(東京都千代田区)は、神奈川・湯河原で木造の実験住宅『ANDPAD HOUSE』を自らで建設し、設計・施工のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の検証に乗り出した。同社の独自技術と、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの最新デジタル技術を融合させる。その効果や知見を蓄積して共有化し、木造建築・住宅事業者を支援していく考えだ。
現実の建物をコンピューター上の3次元モデル化で同様な姿に構築し、建設に関わる取り組みを最適化するシステム「BIM」の利活用は現在、大規模物件だけに限られている現状がある。ただ、BIMシステムの注目度の高まりから、住宅や非住宅を問わずに今後、需要が一層高まると同社では考えた。その利活用を木造建築・住宅まで広げていく狙いがある。
そこで今回、従来のBIMシステムだけではかなえられなかった場面に、同社最新システムを導入して融合。複数のプロジェクト参加者が効率的に情報を連携し、建設シーンの総合的な生産性向上の実現を目指す。
具体的には同社提供のサービス『ANDPAD』が軸となるプラットフォームとする。「BIMデータ」に加えて、関連するすべての共通データ環境としての「CDE」を構築する。図面共有アプリ『ANDPAD図面』やチャット機能を併用することで、リモートワークでの生産性の向上を検討する。
施工者で、製材販売・木造建築業の長谷萬(東京都江東区)が基本計画の段階から同プロジェクトに参画する。長谷萬の施工技術力を設計内容に反映し、施工・製造の効率化を図る「ECI」形式を採用する。着工前から工場で製造を進めることにより、工期短縮の可能性を考察する。同時に、電子受発注システム『ANDPAD受発注』の活用で生産性の向上を検証する。
同プロジェクトはすでに、1月に基本計画に着手し、現在、実施設計に入っている。21年内の完成を目指す。建物規模は延べ約164m2。建設地は神奈川県足柄下郡湯河原町内の敷地約140m2。
国交省で採択
同プロジェクトは、同社を代表に、ほか5社の共同応募により、国土交通省の「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル(先導事業者型)」として採択されている。