総合

UR都市機構 新任理事・中村健一氏に聞く 官民つなぎ新しいまちづくりへ

 国土交通省からの役員出向で、7月に都市再生機構(UR都市機構)の理事(都市再生業務等及び都市再生部門経営担当)に就任した中村健一氏(写真)は8月17日、専門紙の合同インタビューに対応した。就任の抱負や今後の方向性を聞いた。

 ――就任の抱負を教えてほしい。

 「これまでURに対して2つの印象を持っていた。1つは職員が積極的に創意工夫をし、長期的な視点、都市・地域全体を考えながら最先端のまちづくりに取り組んでいること。もう1つは、皆のためにいろいろな〝場〟をつくれること。それは公共空間と民地が一体となった都市空間としての場、都市に関わるステークホルダーのためのプラットフォームのような場だ。URがプラットフォームの役割を果たすことで、行政や民間企業が一緒に都市再生、都市開発に参加しやすくなる。更に創意工夫ができる環境をつくり、今まで以上にURのよさを伸ばしたい」

 ――課題や目標は。

 「都市再生に関して大都市はもちろんだが、地方都市への支援やまちづくりにも力を入れていく。組織の目標を実現しながら、新しいまちづくり、時代のニーズに対応したまちづくりの役割をサステナブル(持続可能)に果たせるように環境を整えていきたい」

 ――新しい、時代に応じたまちづくりとは。

 「1つはウォーカブル。道路や公園、広場と、民間の敷地を一体化して街をつくること。ニューノーマルということで、最近は広場や屋外のゆとりのあるスペースのニーズも高まっている。また、駅を交通結節点としてだけではなく、周りの街と一体で利活用するように、都市空間へのニーズが変わってきた。行政が民間と一緒に都市を活用し、エリアマネジメントと共に考えていくニーズが高まっている。その中でオープンスペースをしっかりと取り込み、そうした動きを支え、皆のニーズを的確に捉えるために、ICT(情報通信技術)を使っていくのが、今の街の姿なのでは」

 ――自身が心掛けてきたことは。

 「バブル崩壊、地方分権の進展、リーマンショック、阪神大震災や東日本大震災などが起き、まちづくりに求められるものも変わってきた。ICTの発展もあり、大きく世の中は変わっている。一番心掛けてきたのは臨機応変だ」