Polyuse(東京都港区)は、建設用3D(3次元)プリンターを用いた建築物を群馬県渋川市内で実際に施工した。同社によると3Dプリンターの施工では、国内初の建築確認申請取得済みの建築物になるという。
同社は建設用3Dプリンターメーカーとしてこれまでに開発体制の構築や技術検証を重ねてきた。
今回、設計をMAT一級建築士事務所(群馬県吾妻郡)が手掛け、同市から建築確認済書を得た。実際に建設用3Dプリンターを用い、その得意なR形状を含めた3D建築部材12個を工場で事前に製作。現地に運搬して施工した(写真)。
それぞれの部材は、モルタル素材を充填して造形している。密な状態を生み出すことにより、従来のコンクリート壁の時に求められる基準強度以上の適応を発現させ、十分な強度を担保したという。全部材の製造には、10日間程度を要した。建物規模は建築面積約17m2(横幅約6m、奥行き3~4m、高さ約3m)で、コンクリート壁構造の平屋建てとした。
約1カ月で完成
従来の建築確認が不要な10m2以下でなく、実際の暮らしを想定して、サニタリーやインテリアを置けるような規模感を確保した。躯体部分の施工日数は約2日間で組み上げた。その後、屋根の組み付けや内装仕上げなどを行い、約1カ月で全体完成させた。海外で先行する3Dプリンター建築の適応技術を今回、国内で建築基準法に適合する形で実証した事例となる。
同社では、21年に実利用の土木構造物や、民間の実案件で技術適応を確認している。国土交通省広島国道事務所の「令和2年度安芸バイパス寺分地区第4改良工事」では、産官学連携で実証実験を実施した。今後も、建設現場での技術適応の事例を積み増していきたい考えで、建設業界に技術を提供していく。
同社代表取締役CEOの岩本卓也氏は、「実利用で普及するためには解消すべき課題が多い。課題解決の検証を重ねてパートナー企業と共に、早期の現場への実機提供を目指したい」と話している。