クラウド型建設プロジェクト管理サービス『ANDPAD』を運営するアンドパッド(東京都千代田区)は〝数年先に実現する設計・施工のDX〟に関し、先行して取り組んだ実験住宅プロジェクト『ANDPAD HOUSE』(神奈川・湯河原町)の完成報告会を3月25日にオンラインで行った。BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)とクラウド技術を活用してプロジェクト全体を進行したことで、企画から検査、確認などをフルリモートで実行し、様々な知見を確認できたという。
同プロジェクトは国土交通省のモデル事業に採択された。同社が施主となり、協力企業が設計や施工を手掛けて21年12月に完成し、2月に建物を引き渡された(写真)。その間、BIMと遠隔臨場、同社提供のプラットフォームサービスの融合の有効性を検証した。
BIMに加え、共有データ環境「CDE」を用いて関係者がいつでも容易にアクセスのできる状態をつくった。会議は、電子メールでなくチャット機能ですべてリモート化して意思決定が迅速化し、従来よりも出席率が向上。ロボットを使ったオンライン地鎮祭、MR(複合現実)グラスでの施工管理や検査の遠隔臨場で、移動時間は300時間超を削減。施工・製造を効率化する「ECI」形式の導入で、施工者の長谷萬(東京都江東区)が基本計画から参加し、実施設計段階から作図して、全体工期を3カ月間も短縮した。
報告会に登壇したアンドパッド執行役員新規事業開発室室長の今井亮介氏と、長谷萬執行役員の鈴木康史氏の両者は、要旨で、「大規模物件で主に使われるBIMは規格住宅とも相性がよく、活用の有効性が高い。シミュレーションやビジュアルをオンラインで共有・確認したが現物との差異がほぼない。紙のやり取りがなく、打ち合わせが円滑だった」とそれぞれに感想を述べた。