職業柄、住宅・不動産分野の報道発表を中心に、SNS等も含め官民の様々な情報に日々触れる。その中で、国政の報道に関連して「総務省の『技適マーク』啓発ポスターがかわいい」というコメントが共感を集めていた。何かと思えば、いわゆる「2次元美少女」イラストで、好みはさておきターゲット層であろう若年世代との親和性は高そうだ。
▼「情報を届ける」という目的の達成のため、堅いイメージの行政機関も、近年は〝キャッチーな情報発信〟に苦心しているようだ。品格とのさじ加減は難しいが、あらゆる情報が飽和し相対化される現代、面白みのない無機質な情報の羅列では、目に留めてすらもらえない。当然、新聞報道も例外ではない。
▼更に、これは不動産業界のイメージ戦略にも当てはまるだろう。最近、編集部で「卓越した医師や弁護士が活躍して人々を救う作品は多いが、宅建士では見当たらないのでは」との話になった。ドラマ化もされた人気コミック『正直不動産』も、物語の構造は「業界の暗部に挑む変わり者」であり、職業イメージ向上の期待は難しい。
▼例えば、業界一丸での「宅建士ヒーロー」ドラマの製作や、せめて人気エンタメ作品とのタイアップ等は検討に値するのではないか。消防庁は19年、映画「貞子」とタイアップした。キャッチコピーは主題歌を引用した「来る、きっと来る。迫りくる火災に備えて!」。実際印象には残った。