長らく低迷が続いていたJリート市場が息を吹き返している。東証リート指数は1900ポイントを回復。利上げ局面で落ち込むのが常だったが、今回は違う。その理由として賃料の上昇トレンドが挙げられ、内部成長への期待が大きい。過去の経験則では、不動産市況が好調なときでも価格上昇とは距離を置き、賃料の粘着性が足を引っ張っていたが、今回はオフィス・住宅とも賃料の増額改定が進む。投資家は金利が上がったとしても賃料の上昇で十分に吸収できるとの判断でリート市場に資金を戻している。
▼不動産は息の長い好況が続いている。国際社会に不安定があるだけに内需に資金が集まる構図を映し出す。大手を中心に今年もこのまま過去最高を更新しそうだ。分譲住宅の価格は東京23区は億ション化が進んで一般的なサラリーマンではもはや手が届かない状況だ。分譲を諦めて〝借家に甘んじる〟しかないと思いきや、その家賃も切り上がり東京ではにっちもさっちもいかないと都区部の子育て世帯が郊外に退避する。
▼不動産の高騰はバブル経済期とリーマン・ショック前の不動産ファンドがけん引したバブルがあったが足元の価格高騰は過去のどの〝バブル〟よりも高値圏に駆け上がった。山が高ければ高いほど谷深しだが、今のところその懸念が頭をもたげている様子はない。賃料に裏付けされた価格であるとしてバブルとは一線を画していると業界関係者は口をそろえる。