デジタルガレージ(東京都渋谷区)は、最新テクノロジーで不動産業務をデジタル化する新サービス『Musubell for 管理』(以下・『管理』)の提供を2月に始める。不動産売買取引を最適化する同社提供の次世代不動産取引のDXエンゲージメントプラットフォーム『Musubell』(ムスベル)シリーズの1つに加える。新サービスの開発の背景や、同シリーズの展開によって同社が提供する〝新たな体験価値〟とは、どのような姿なのか。
不動産プラットフォームを軸に連携
デジタルガレージが支える体験価値
新サービス『管理』は、複数の機能で構成する。第1弾機能で、不動産売買仲介会社が不動産管理会社へ依頼する「重要事項調査報告書」等の手続きを電子化する。同社では、「同シリーズの開発にあたって約100社の管理会社にヒアリングをした。それらの課題を解消しつつ、実務で使える、使いやすい形で開発した」(同社の岩坂昌倫氏)。
重要事項調査報告書を入手する際に従来は、電話やFAXなどで依頼し、書類作成料金を金融機関に振り込む。不動産管理会社側は個社ごとに確認して社内承認を得て、書類発送する。各工程に手間、業務負荷があった。今回の新サービス機能は、従前の工程を大きく変えず電子化する。履歴が残り、検索でき、簡便な管理で業務を効率化。使い勝手がよく全ての工程をオンライン化する(イメージ図)。
不動産管理会社が活用すると、オンラインで不動産売買仲介会社からの依頼を受けられる。導入企業の従前の運用フローに沿った形で、社内承認も行える。不動産売買仲介会社向けに「マイページ」を開設し、重要事項調査報告書をPDF化してアップロードすれば、双方で書類を共有して納品できる。閲覧や編集権限を設定し、情報漏れなどのセキュリティ性も担保する。
更には、同社グループのDGフィナンシャルテクノロジー(同住所)提供のサービス機能を用いて、クレジットカードで決済もできる。領収書を自動発行し、入金管理の煩雑さから開放される。同社では、不動産売買仲介会社の各社から不動産管理会社が受領する振込票の入金管理の収納代行にも対応する。経理業務の工数も軽減できる。
今春には、「管理組合、管理人や外部協力会社との管理業務をオンライン化する機能を実装する。ペーパーレス化により保管コストをなくし、セキュリティ性も向上する。印紙代や郵送費を削減し、管理業務をマルチタスク化できる。安心、安全に効率化し、データ活用ができるようにする」(岩坂氏)。
現在、不動産業界ではDXを見据え、最新ITツールの導入が進展するが、複数ツールの使い分けが逆に負担感となり、業務の効率化を目指す姿とは、逆方向の状況も垣間見える。同社が展開している『Musubell』シリーズは既に、電子契約機能を備えた『新築』や電子契約を一元管理する『仲介』、物件調査業務をデジタル化する『物件調査』と、一連の業務支援サービスを提供している。
新サービスの『管理』が加わり、「将来的には既存の基幹システムとの連携も含め、不動産業務の一連の流れの最適化を最新のデジタル技術で支援する。業務の効率化や生産性の向上にも期待できる。また、導入企業が提供する顧客向けサービスの満足度アップと共に、企業競争力の向上にも貢献していく」(岩坂氏)