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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(3月18日~3月24日)

Pick Up!

  • 25年地価公示発表、名古屋と「地方4市」勢い減も「地方圏その他」が底上げ
  • 大手ハウスメーカー受注速報 集合住宅好調の様子、単価上昇も寄与
  • 千代田区の東急不「ブランズ」 坪1000万円超、過去最高の13億円住戸含め全戸完売

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事を3つピックアップしていきます。

 まずは25年地価公示の速報記事で、7位の「地方圏が底上げし全国全用途平均が4年連続上昇 25年地価公示(2025/3/18配信)」をご紹介します。毎年、不動産業界の内外から広く注目を集める地価公示ですが、今回もコロナ禍からの回復が続き、全用途・住宅地・商業地とも4年連続の上昇となりました。三大都市圏など高度利用エリアが全体をけん引する構図も継続していますが、今年は名古屋圏のほか、札幌・仙台・広島・福岡の「地方4市」で上昇幅が縮小。地価回復の勢いにやや落ち着きが見られました。他方、「4市」以外の「地方圏その他」エリアでは商業地を中心に上昇幅の拡大が継続し、全国平均を押し上げています。なお、地価公示関連では、本紙掲載の「2025年地価公示 全国全用途は4年連続上昇 地方への波及拡大、大都市やや減速(2025/3/19号)」や「地価公示 大阪圏 道頓堀が復権果たす 梅田地区を上回る上昇率(同)」でも詳報しており、アクセス数が分散した一面もあるようです。

 次は、3位となった紙面記事「大手住宅メーカーの2月受注金額 戸建て注文前年プラスは2社 3社は賃貸・集合住宅が倍増(2025/3/19号)」です。集計対象9社のうち、賃貸・集合住宅を分けて公表している8社は全て前年同月比プラスとなっており、そのうち3社は同2倍以上に伸長しました。他方、戸建て注文住宅が前年同月比で伸長したのは9社中2社。ただし、それ以外の社もおおむね金額ベースのマイナス幅は小さい模様です。記事中にも一部で言及していますが、全体的な販売価格上昇や高価格帯商品の強化などが寄与したものと考えられます。持ち家全体において新設住宅着工戸数の低迷が続く中、賃貸や建て売り等にも力を入れると共に、付加価値向上で棟単価を高めるなど、ハウスメーカー各社の成長を目指した工夫が奏功している様子が引き続き見られた結果と言えるでしょう。

 最後は、6位の「東急不動産千代田区で 〝環境先進〟旗艦物件 全65戸完売、最高額は13億円(2025/3/19号)」です。物件自体の概要は「東急不、東京・千代田区で全69戸 先行販売で4割が契約済み 坪単価1000万円超の〝環境先進〟物件(2023/1/17号)」で既報ですが、発売当初よりも平均坪単価(「1026万円」から「1090万円」に)・最高価格(「8億円台後半~10億円程度」から「ブランズ」シリーズ過去最高の「13億円」に)とも上昇している点が興味深い点です。坪単価1000万円超と、周辺エリアの競合物件と比較しても更に挑戦的な価格設定を打ち出していましたが、案内開始時からの建設費上昇等を受けて、販売価格を見直したことなどが想定されます。そうした背景を踏まえての全戸完売は、立地の希少性・優位性はもちろん、専有部及び共用部の設備仕様やデザイン、環境性能、ソフト面のサービスなどの水準の高さが、顧客から高い評価を受けた様子を示しています。近年の大都市圏のマンションは、高騰により「価格に納得できるだけの物件クオリティが強く求められる」(マンション市場調査会社)とも指摘されますが、今回の「ブランズ千代田富士見」はそうしたニーズに応えた好例と考えられます。

 

 

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