スマートロックや不動産管理向けサービスを提供するライナフ(東京都千代田区)は4月27日、不動産会社のリモートワーク(在宅勤務など)を考えるウェブ対談を開催した。同社と三菱地所ハウスネット、Good不動産の各担当者が登壇し、各社の取り組みでのメリットやデメリットを紹介。今後、業務の電子化などが一層広がる可能性があり、今回の緊急対応の働き方が「不動産業界をプラスに転じる機会になる」との意識を共有した。
登壇した3社はいずれも現在、全社員を対象に在宅勤務を導入している。業務の生産性や売上に影響が少なく、通勤の負担を低減し、家庭との両立がしやすくなったとメリットを紹介した。心配されるコミュニケーションの面でも、テレビ会議システムなどの活用により、普段は交流の少ない他の部署との意思疎通がしやくなった点も挙げた。
しかし各社とも、完全な在宅勤務は実現できていない。社員に支給したノートパソコンや携帯電話だけでは対応できないファクスや郵送物、印鑑の対応に一部で出社を余儀なくされている。対面を要する社員教育や接客、内見や鍵の受け渡し、クレーム対応の場面もある。出社する社員と在宅勤務の社員の間に不公平感がある。在宅から基幹システムに一斉にアクセスするとつながりづらくなる通信環境の技術的な点も付言した。
これまでの在宅勤務の取り組みの感想として、業務自体への影響は少ないが、在宅での個々の仕事のオンオフの切り替えやモチベーションの維持などに課題感が残るとした。ただ、不動産業向けの最新ITツールを活用した在宅勤務は、従来の働き方を変えて業界の「プラスに転じる機会になる」と言葉を揃えた。 更に、新型コロナウイルス感染症の終息を見据えて、「今後、対面と非対面の業務の場面を整理し、いつでも在宅勤務に対応できるように組織体制づくり、経営層の判断や決断が重要になる」と結んだ。