住まいの印象を大きく左右するのは、間取りや窓の大きさだけではありません。毎日目に入り、手に触れ、光を受け止める壁の仕上げ材も、暮らしの質を決める大切な要素です。壁は面積が大きいため、材料の選び方ひとつで部屋は明るくも落ち着いても見えますし、掃除のしやすさ、湿気への強さ、傷のつきにくさにも差が出ます。
現在の住宅で最も一般的なのはビニールクロスです。色柄が豊富で価格も抑えやすく施工も早いので、新築からリフォームまで広く使われています。汚れに強いもの、消臭機能を持つもの、表面が丈夫なものなど機能品も増えています。ただし下地の不陸(ふりく・面が凸凹のこと)を拾いやすく、経年で継ぎ目が開いたり、角がめくれたりすることがあります。安価である一方、質感は製品差が大きく、広い面に強い柄を使うと落ち着かない印象になるため、サンプルだけでなく大きな面での見え方を想像することが大切です。
紙クロスや布クロスは、ビニールにはない柔らかな表情が魅力です。光を穏やかに反射し、寝室や書斎など静けさを求める場所に向いています。自然素材に近い質感を得やすい反面、水拭きに弱いものも多く、汚れが染み込みやすい点には注意が必要です。小さな子どもやペットがいる住まいでは、使う場所を選んだ方がよいでしょう。施工にも丁寧さが求められ、下地の状態が仕上がりに影響します。


















