関西の重伝建指定地域などに行くと、今でも民家の玄関脇に柊の葉やメザシの頭が飾ってあるのを目にします。これは「柊鰯(ひいらぎいわし)」と呼ばれる習慣で、柊の葉の棘が鬼の目を刺すので門口から鬼が入れず、また、メザシを焼く臭気と煙で鬼が近寄らないという言い伝えに基づいています。正月にも飾られますが、主には節分に鬼退治として用いられます。「鰯の頭も信心から」(つまらない物でも信心の対象になる)という諺は、この習慣に由来しています。
住まいの吉凶といえばすぐに家相や風水を思いつきますが、歴史的に見ればそれぞれ一定の合理性をもっており、一刀両断に切り捨てることもできますが、様々な知恵が語られていることも事実です。例えば中国の風水では、「行き止まりに住んではいけない」といわれています。都市の「気」は血液のように循環することが大切であり、行き止まりには「気」が淀み、不幸を呼ぶとされるからです。「気」はともかくとして風通しや、緊急時の避難、車での出入りなどを考えると行き止まりの土地には生活上の問題点があるのは確かです。
「塀の高すぎる家は不幸を呼ぶ」という言葉もあり、行き止まりの家と同じように「気」が還流しないという考え方です。塀の高さは、一階の軒先高さを超えないようにすることだそうです。よく街を歩いていると、まるで刑務所のように高い塀をめぐらした閉鎖的な住宅があります。幸不幸はともかく、街並みを拒絶したその外観には住み手の精神的なストレスや傷を感じます。
















