台湾の事業家で欧米の厨房機器などを輸入・販売していた呉清友は、1989年に大型書店チェーン「誠品書店」を発足させました。ネットに押され、衰退産業に見える書店に「創造の場」を付加させたのが誠品書店のコンセプトです。現在は台湾に42店、香港に3店、中国・蘇州と日本に各1店を構えています。その旗艦店である台中・中友百貨内にあるショップは、2004年にTIME誌アジア版が発表した「アジアで最も優れた書店」に選ばれています。重層的にぐるりと囲みこむように並んだ書棚が特徴的なデザインであり、そのダイナミックな構成が評価されていますが、このデザインは北欧の巨匠アスプルンドの設計した「ストックホルム市立図書館」を彷彿とさせます。
エリック・グンナー・アスプルンドは北欧を代表するモダンデザインの建築家です。1885年ストックホルムに生まれたアスプルンドは画家の道に進みたいと望みましたが、父親や教師の反対に会い、ストックホルムの王立工科大学建築科に進みました。工科大学では、初期の近代建築運動や当時の北欧諸国で盛んであったナショナル・ロマンティシズム(一種の民芸運動)に接します。工科大学卒業後、王立芸術大学に進学するのですが、その権威主義的で保守的な教育に反発してすぐに退学してしまいます。
一緒に退学した5人の仲間と「クララ・スクール」を設立し(1910年)、独自に建築を学びます。ここではラグナル・エストベリ、カール・ヴェストマンら、当時の北欧の一流建築家たちを招き指導を受けています。また、ギリシャとイタリア(1913~14年)への旅行では古典的な建築に触れ、多くのことを学んだようです。






















