紙上ブログ 不動産屋の独り言742 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 支離滅裂な飛び込み客に困惑 同業者に迷惑を掛けそうに
住宅新報 2024年2月27日 号 6面

高齢女性のAさんが飛び込み客としてやってきた。「何カ月か前に一度こちらに来ています」と言う。そう言われてみれば何となく覚えがある。「今、生活保護を受けているが、年金もあるし、働くつもりなので生活保護は打ち切ってもらうことになると思う」と言う。私が「仕事のめどは立っているんですか。生活保護を打ち切ってもらうのは仕事が安定してからでもいいと思います」と言うと、「弁当屋をしたい」と言う。「知り合いの弁当屋さんに勤めるとかですか」と聞けば、「自分で始めるのよ」と何とも無謀な話である。
業界の〝有名人〟
それなのに「まずは引っ越したいの。一軒家がいいけど、あるって言ったわよね」とAさん。そんなこと言う訳がない。単身者の生活保護の家賃上限で借りられる一軒家などある訳もないのだ。「どちらにせよ市役所は初期費用を出してくれないから、契約金は自分で出す」とも言うが、無理なものは無理。私が言っても納得しないだろうから、親しくしている近所のD社に連れていって、そこでも「無理」だと伝えてもらおうとしたが、顧客カードに名前を書いてもらっている途中で、このAさんがどんな客か思い出した。この業界のいわゆるブラックリストに載っていて、「関わらないほうがよい」とお触れがまわっている人物だったのだ。名前や住所を書いている途中で背中に回って、営業のМさんに手で大きくバッテンを作ったら、既に分かっていたみたいで大きく頷いてくれた。





















