紙上ブログ 不動産屋の独り言 790 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 明日は我が身か、身につまされる話 訪問者からまさかのお願い
住宅新報 2025年2月18日 号 6面

店番をしていたらドアが開く気配。ふと見ると、高齢男性が立っていた。年齢からして生活保護のお客さんかなと思って、「いらっしゃいませ」と言うと、返答はなく、椅子に座ってバッグの中をごそごそと探し始めた。待っていると、フランクフルトソーセージくらいの大きさの機器を取り出し、頬の下に当て話し始めた。喉頭がんで声を失い、その器具を使用している。こちらはどうにか声が聞き取れる。耳は大丈夫なので筆談にはならないから面倒な部屋探しにはならないかと思っていたら、違う目的だった。
現在の状況を記したプリントを私に渡す。訪問目的は「こちらのお店で私を雇って頂けないか」とのこと。年齢は4月で84歳。宅建士の資格も持っているが、声を失ったことで、それまで勤めていた不動産会社をクビになったという。
生活のために




















