紙上ブログ 不動産屋の独り言 832 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 入居者同士のありがたい気遣い 連絡取れず心配したが…
住宅新報 2025年12月23日 号 6面

当社の管理物件に住む若い独身女性Sさんから電話があった。「隣りのFさん、夕方になっても明かりがつかなくて。今までこんなことなかったんです」と心配そうな様子。Fさんは高齢女性で一人暮らし。Sさんより後に入居して、年齢差はあっても仲がいい。今年の猛暑日にSさんの部屋のエアコンが故障した。Sさんは1階なので窓を開けたまま寝る訳にもいかず、エアコンも修理に来てくれるまで数日かかるため困り果てていたら、Fさんから「うちで寝ていいよ。昼間もうちにいて構わないから」と声を掛けてもらい厚意に甘えたとか。その後も、何かにつけてお互いを気遣う間柄だ。Fさんが出掛けて帰りが遅くなる時などSさんに必ず声を掛けていくが、今回は何も言わず、携帯に電話しても出なくて、それで心配していた。
孤独死のおそれも
翌日の昼、Sさんから電話があった。「Fさん、帰ってきました。横浜の友だちの家に遊びに行っていて、移動中の電車やバスの中だったのと、あまりに楽しくて、つい電話に出そびれてしまった」とのこと。Sさんが心配している様子を見て平謝りだったようだが、私としても声を掛けてから出てほしかったと思う。高齢ということもあって、「もしかして部屋の中で倒れていたりしたらどうしよう。万が一、孤独死しているかも知れないし、もう坂口さんに電話するしかない」との判断だったようだ。私に電話があったのは夜10時過ぎ。うちの店にも家にも車がないし、バスはもう動いていないから、どうしてもということなら隣町のアパートまでタクシーで行くことになる。それはつらい。当社は合鍵を持っていないし、その時間では同じ敷地に住む家主にも電話しづらい。




















