価格急騰クライシス 競売不動産 じわり増加予兆 見立て誤った投資家が先陣
住宅新報 2026年3月3日 号 9面
民間の調査会社によれば企業の倒産件数は増加傾向にある。2025年を通して見ると1万261件(前年比3.6%増)と12年ぶりに1万件を超えた。ただ、負債総額は1兆5668億円(前年比29.4%減)と負債は減少した。大型倒産よりも中小・零細企業の倒産が目立っていることを示している。特に原材料・エネルギー・人件費の高騰の中で価格転嫁が難しいことが影響する。帝国データバンクの調査では、「物価高倒産」が949件となり、「人手不足倒産」が427件といずれも過去最多を更新した。倒産トレンドが物価高から人手不足など人的要因に比重が移り始めている。物価高と人手不足、金利上昇による資金繰りが経営を圧迫している。
そうした中で、不動産競売事情に詳しいワイズ不動産投資顧問(東京都千代田区)の山田純男代表取締役は、競売市場の縮小が続いてきた都区部について、「競売件数は増える予兆があり、26年は転換の一年になる可能性がある」と話す。都区部だけでなく都下を含めた東京都全体で25年を振り返ると、競落物件数は前年から増えており、神奈川県、埼玉県、千葉県を合わせた1都3県の平均で1割増加した。東京都は4.60%、神奈川県が5.45%、千葉県が7.23%と増え、特に埼玉県は28.78%と大幅に増えた。
不動産競売専門メディアのエステートタイムズ(東京都豊島区)の阿南順也代表取締役は今後の見通しについて、「買い取り再販事業者が競売で物件を仕入れても売れなくなる可能性はある」と指摘する。これまで千葉県内では価格の中央値が売却基準価格の2倍超であったが、足元で急激に落ち込んでいるという。23区以外は価格が下落基調で売れ残りも出始めており、都区部でさえ入札本数が減少していると警鐘を鳴らす。入札に参加しづらい背景には出口が薄くなっていることを想像するのは難しくない。阿南代表は、「前ほど売れるような状況ではないのだろう」と述べ、全国的に競売市場が転換の年を迎えているという。























