酒場遺産 ▼145 立川駅南口 炭火串焼きだるま/競馬の歓声と炭火の香り 懐かしき風景
住宅新報 2026年8月18日 号 13面
連載: 酒場遺産

酒場遺産 ▶145 立川駅南口 炭火串焼き だるま 競馬の歓声と炭火の香り 懐かしき風景
立川駅南口の場外馬券売り場(WINS立川)からほど近い「炭火串焼き だるま」に、日の高いうちに入った。筆者が30年近く前に酒場を巡りはじめた頃は、赤と青の二色鉛筆と競馬新聞を手に、店内のテレビで必死に競馬中継にかじりつき、歓喜と悲鳴を上げつつチューハイを飲んでいる中高年の男ばかり……、そんな風景が普通だったが、若い女性たちが好んで古い酒場へ行く時代に、彼らはだんだんと姿を消していった。しかし、そんな懐かしい風景が立川には残っている。
カウンターに陣取った初老の男たちは、もうすっかり出来上がっている。競馬中継がはじまると、何とも言えない唸り声を上げている。懐かしい。「だるま」の創業は1994年、店主は高知県土佐清水市の出身だ。立川南口は、米軍基地の影響を強く受けた北口と対照的に、古くからの地主たちによってまちづくりが進んできた歴史がある。かつては「北の弁慶、南のだるま」と並び称された老舗酒場である。今は親子二代が焼き台に立つ。
麦酒はサッポロでラガーや黒ラベル大瓶などで、酒は月桂冠が主だ。その他、サワー類、ホッピーなどひと通り揃えている。電気ブランもある。壁の短冊には、レバーやシロといった150円の串から、カツオタタキ、ボイルホタル、イワシ刺などの海鮮もの、ゲソ唐、牛すじ、ニラ玉、チンジャ、ササミカツ、センマイ刺し、島らっきょう、ガツと玉ねぎ一味和え、豆腐鍋、川えび唐揚といった酒飲みならば頼みたい一品料理が並ぶ。どれも安い。そして注文を受けてから焼く串焼きは滅法美味い。
















