紙上ブログ不動産屋の独り言600 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 相場よりはるかに安い家賃1 既得権ではないはず
住宅新報 2021年4月27日 号 6面
多摩郊外の貸家に20年ほど住んでいる女性がいる。入居した当初はご主人と息子2人と4人で暮らしていて、家賃は30万円だった。住み込みで働くお手伝いさんの部屋まである豪邸で、家賃相場としては決して高くはない。当初は大手の不動産会社が管理していたが、どういう訳か、更新の手続きなどが抜けてしまっていて、家主が自分で契約手続きなどをしていた。なので更新料もなく、住宅総合保険にも加入してもらっていない。それは怖いものがある。今の借主は日本人で、夫は一昨年他界し、2人の息子も独立して、豪邸には1人で暮らしていたが、最近になって、あまり柄のよくない男と一緒に暮らし始めているのが分かった。
泣きつかれて値下げ
入居者の内容に変更がある場合には貸主に報告する義務があるが何も言ってこないし、家主のご主人はご高齢で最近施設に入ったので、奥様がもろもろの手続きをしなければならず、私に管理を依頼してきた。現在の家賃は12万円。相場のほぼ半額である。どうしてそうなったか、と言えば、借主が投資に失敗して数千万円もの損失を出し、家主に値下げと家賃の支払いが遅れることの了解を求めて泣きついてきたからである。家主は3カ月分の家賃を免除し、徐々に家賃を下げて、ついには12万円になったもの。ただし、大規模修繕や老朽化した什器備品の交換やら公租公課もあるから、12万円で貸していたのでは採算がとれない。それで私に「次の更新で、相場の家賃まで値上げして、とは言わないけれど、段階を踏んで値上げすることを納得してもらってほしい」とのこと。そのお気持ちはよく分かる。






















