紙上ブログ不動産屋の独り言649 賃貸現場の喜怒哀楽 坂口有吉 神様仏様から泥棒に降格した話 4 納得してくれる移転先を
住宅新報 2022年4月19日 号 10面
その老婦人、若い頃、誕生日のたびに両親が1つずつ宝石を買ってくれていて、中にはかなり立派な宝石もあったとのことで、そのうちで一番立派だったのがルビーだったらしい。連帯保証人として代位弁済していたり、ご主人と離婚して自分で生きていかなければならなくなったことから、宝石を順次質入れして、最後には一番気に入っていたルビーも質入れして、流れないように利息だけ支払い続けていたのだが、ある時、質屋を訪ねて「まだ間違いなくルビーはあるか見せてほしい」と依頼して出てきた石は、自分が質入れしたものとは似ても似つかぬ安物の石だったとか。
手助けしたのに
質札はあるが写真はなく、今となっては自分が質入れした石と違っていることなど証明できない。それでずっともやもやしていた思いが、「不動産屋に盗まれた」にすり替えられたんだろう。知り合いのケースワーカーに聞いたら、「私が担当している施設でも、この間まですごく仲良くしていた相手のことを、入所者が『私のお金を盗んだ』と言い始めることはよくあります。たいていは、それまで一番仲良くしていた相手なんですよ」とのこと。なるほど、それで私が「神様仏様」から「泥棒」になり下がったというわけか。でも冗談じゃない! 滞納していても、移転費用もないことだろうからと、なんとか追い出されることがないよう家主に交渉したり、以前は少しだが生活費を貸したこともある。それでも泥棒にされちまったか。























