ADR相談からみる 事業者のためのトラブル事例 ――傾向と対策 【第1回】事業者にとってのADRの可能性
住宅新報 2023年11月7日 号 7面

どのような業務・業態であってもお客様とのトラブルリスクがあります。不動産・建築業においても例外でなく、多くの事業者ではコンプライアンスの整備など、トラブルを未然に防ぐための取り組みを行っていると思いますが、発生してしまうトラブルもあります。今回は、起きてしまったトラブルの対処方法として有効なADRという制度について、あらためてご紹介します。 一般社団法人日本不動産仲裁機構
裁判によらず、当事者同士の話し合いによってトラブルを解決するADR(裁判外紛争解決手続)。これはAlternative Dispute Resolutionの頭文字をとったものであり「より当事者の求める形」でのトラブルの解決を図るために作られた制度です。
その特徴であると共に通常の裁判との違いは、分かりやすく表現すると「和解に向けた話し合いによってトラブルを解決する」ということです。これによってトラブルが発生した際に「覚悟を決めて裁判を起こす」、もしくは「面倒ごとは嫌なので泣き寝入りをする」という両極端な二択の中間的な判断として「まずは話し合いによる解決を目指す」という選択肢をとることができます。
この紙面では事業者の立場に立って、トラブル解決に関する内容を紹介していくのですが、ADRは消費者のみならず、不動産・建築事業者にとっても有益な制度であるといえます。例えば、「時間も費用もかかる裁判までは起こす気のないトラブルの当事者」は、各種取引の仲介等を行った不動産事業者にクレームを入れるのが常でした。不動産事業者は両当事者の異なる見解の板挟みになり、解決の糸口を見いだせずに、その対応によって時間を浪費し、心労を積み重ねていきます。ここで、ADRという話し合いによる具体的な解決策を提案することは非常に前向きなことでしょう。また、建築事業者にとっても自社の施工内容などに対するクレームを円滑に処理することのできる有効な手段になります。























