不動産学の魅力 第61回 明海大学不動産学部 防災集団移転促進事業 自分ごとで地域の将来を捉える
住宅新報 2025年7月29日 号 7面
6月末に大洗町が開催した第4回「防災まちづくりワークショップ」に参加した。茨城県大洗町の堀割・五反田地区では、72戸を対象に防災集団移転促進事業(以下、「防集事業」)が進んでいる。 防集事業は、災害発生地域や災害リスクの高い区域において地域コミュニティを維持しつつ、住民の集団的な移転を促進する制度である。1972年の豪雨災害を契機に創設され、これまでは主に災害後の復興に活用されてきた。災害の頻発・激甚化を背景に、近年は事前防災にも有効として注目され、各地で事業化が検討されている。
涸沼川沿いの両地区には堤防がなく、バックウォーター現象による浸水リスクが高い。令和元年東日本台風で甚大な被害を受けた経験から、再び被災しないよう、大洗町を挙げて事業に取り組んでいる。
事業の主な課題として、移転先用地の確保、住民間の合意形成の長期化、移転元地の利活用がある。特に移転元地については、地域の将来価値に直結する重要な論点である。前2者は事業推進のために必須でどの地区でも検討するが、後者は移転事業とは直接関係しないため、後回しにされがちだ。しかし、災害危険区域の指定による建築制限や町が買い取った公有地と民有地が混在することから、一体的かつ積極的な活用は容易ではない。移転元地が放置されれば、地域の荒廃や衰退が加速する懸念もある。























