不動産学の魅力 明海大学不動産学部 第66回 不動産とサウンドスケープ 質の高い空間を「音」が創る
住宅新報 2025年9月9日 号 7面
不動産には建物や土地という印象が強くあるが、広く捉えれば「人が暮らし、活動する空間そのもの」を指すと言える。建物や土地といった物理的な構造だけでなく、そこに流れる時間、空気、光、そして〝音〟といった環境的要素も含めて、不動産の価値や魅力は形成されていると考えられる。今回は、その要素のひとつである〝音〟(サウンドスケープ)と不動産との関わりを深掘りしていきたい。サウンドスケープとは「音の風景」を意味し、ある空間で人が体験する〝音の環境全体〟を指す。 したがって、住まいやオフィス、商業施設などの不動産においても、サウンドスケープは空間の快適性や印象に大きな影響を与える要素となる。たとえば住宅では、「静けさ」や「安心感」を提供するための防音性に加え、窓を開けた際に聞こえる鳥のさえずりや風の音、近くを流れる川のせせらぎといった自然音が豊かに存在する環境が高く評価されることがある。まさに、「良質なサウンドスケープ」が不動産価値を高める要因となっている例だと言える。
また商業施設においては、BGMの選定や音響設計によって来訪者の購買意欲や滞在時間が変化するという研究もある。たとえば、テンポの速い音楽は回転率を重視するフードコートに、落ち着いた音楽はリラックスを促すカフェやブティックに適しており、それぞれの目的に応じて意図的にサウンドスケープが設計されている。空間に合った音の選択は、訪れる人の感情や行動に大きな影響を与えることができる。























