知って得する建物の豆知識 409 鉄筋コンクリートの進化 〝しなやかで曲がる〟材料に
住宅新報 2025年10月28日 号 7面

鉄筋コンクリート(RC)は、鉄とコンクリートを組み合わせた近代建築の象徴的な構造材料です。鉄が引張力を、コンクリートが圧縮力を受け持つ合理的な仕組みで、20世紀の都市空間を形づくってきました。しかし、ひび割れやコンクリートの中性化による鉄筋腐食、コンクリートの爆裂、維持管理コストの増大、そしてセメント製造に伴うCO2排出など、多くの課題も抱えています。そうした中、今RC構造は「強いだけではない」方向へと進化しています。
注目されるのが、〝曲がるコンクリート〟=ECC(エンジニアード・セメンタシャス・コンポジット)です。微細な繊維を混ぜることで、通常のコンクリートのように一気に割れず、髪の毛ほどの微細なひび(ヘアラインクラック)が多数生じながらも全体はしなやかに変形させる考え方です。地震時のエネルギー吸収性能に優れ、補修の手間も縮小化できます。これまで「割れる」ことを前提にしてきたコンクリートに、〝しなやかさ〟という新しい概念をもたらしました。
環境対応の技術も急速に進んでいます。近年はCO2を吸収・固定化するコンクリートの研究が進み、建物が「炭素を出す存在」から「吸収する存在」へと転じようとしています。これは、通常のコンクリートの主原料であるセメントの製造で排出されるCO2を削減し、更にコンクリート自体が硬化する過程で大気中のCO2を吸収して固定する「CO2吸収コンクリート」と呼ばれるものです。また、表面に塗るだけでCO2を取り込み鉄筋腐食を抑える「DACコート」や、混煉時に二酸化炭素を封じ込める製法など、未来のRCは環境浄化材としての役割も担うかもしれません。こうした技術により、セメント製造時の排出量を削減するだけでなく、コンクリートが完成した状態でもCO2を吸収する「カーボンリサイクル」を実現します。























