不動産学の魅力 魅力的な公共施設 新たな価値とサービスを創出する 明海大学 不動産学部 第81回
住宅新報 2025年12月23日 号 7面
公的機関と民間事業者で連携し民間事業者の資金やノウハウを活用して公的サービスの向上を目指すPFI事業について調べている。墨田区総合体育館は、民間事業者が管理運営を主導する公共施設として開発された。老朽化により多様なスポーツ需要に対応できなくなり建て替えられたものである。BTO方式が採用され、民間事業者が建物を建設し所有権を区に移転した後に民間事業者が運営を行っている。民間事業者は、地域貢献が評価された地元企業が選定された。建物は、本格的なスポーツ設備に加えて会議室やカフェテリアも備えられ、災害時には避難施設としても機能し、平常時と非常時の両面で地域に貢献する。事業者の収入は、区から支払われるサービス購入費と、利用者から支払われる施設利用料金で構成する混合型である。この事業で最も面白さを感じるのは、公と民による需要変動リスクの分担。利用料金収入が予測を上回れば区のサービス購入費を減らし、下回れば増加させる。民間事業者の過度な需要リスクを軽減し、利用者が増加した際は区の負担が軽減される。これにより安定的に施設を運用し、魅力の向上が図られる。
更に、民間事業者の創意工夫を引き出す自由提案制度が取り入れられている点も興味深い。屋上にはフットサルコートが設置され、スポーツ教室の充実や営業時間の延長が図られた。利便性向上と共に利用者数も増加しており、公共施設の老朽化問題を解決しただけでなく、民間の活力によって新たな価値を創出している。
このようなPFI事業は、ノウハウが不足している公的機関の成長を促すことができる。長期的な事業を通じて、公的機関は民間事業者がリスクを管理するために行う試行錯誤の過程を学ぶ。この過程で民間の実践的なノウハウが公的機関に蓄積される。この学びは単に民間へ発注するだけの従来方式では得ることができない。時代の流れやニーズの移り変わりに対応できるノウハウが乏しければ、利用者は減り、収益も上がらず、投じた税金を回収できず、財政を圧迫する新たな要因となりかねない。























