不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第90回 都市を救うのは集約か、需要か コンパクト化が逆効果にも
住宅新報 2026年3月3日 号 7面
コンパクトシティは近年、日本各地で推進されている都市政策である。人口減少や高齢化に直面する中で、人々や都市機能を中心部に集め、行政サービスを効率化することが目的とされ、特に移動距離の短縮によるCO2排出削減効果が期待されている。しかし、都市機能の集約のみで十分なのかという疑問もある。
既往研究では、都市をコンパクト化するだけでは必ずしも交通由来のCO2排出が減るとは限らないとの指摘に加え、中心部の地価が高騰すれば、郊外に居住せざるを得ず、その結果、長距離通勤によってCO2排出が増える可能性があるという。また、公共交通が十分に整備されていなければ、自家用車に依存し続け、渋滞や環境負荷の増大を招く危険性もある。単純に人や施設を集めるだけでは期待された効果は得られず、逆効果となるケースもある。
こうした学術的な議論に加え、地方都市の事例に着目した。青森市では中心市街地の衰退を食い止め、青森駅前のにぎわいを取り戻す目的で大型商業施設が建設された。行政の取り組みとして分かりやすく立派な施設だったが、建設後、大きな財政負担を残したという。現在は市役所の窓口や図書館などの公共機能として活用されているが、本事例は一棟の施設の建設によって中心市街地が再生するだろうという考え方の限界を示しているようにも思われる。























