不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第106回 TX開業による流山市の不動産市場の変化 駅周辺の住宅価格指数を推計
住宅新報 2026年6月30日 号 7面
不動産学を学ぶ前、私は「つくばエクスプレス線(以下、TX)が開業すると、地域全体の不動産価格が上昇する」と思い込んでいた。だが、ゼミで実施した研究結果を通じて、その単純な考えが大きく変わった。
千葉県流山市にはTX開業前から複数の路線があったが、都心に出るためには、必ず常磐線を経由する必要があった。しかし、2005年に都市部へ直通するTX線が開業して利便性が向上すると共に、「流山おおたかの森駅」が誕生した。現在、駅と周辺は開発が進められ、大規模な商業施設や、共同住宅が林立し、大変な活況を呈している。私はこの開業が住宅価格に与えた影響を検証するため、国土交通省「不動産情報ライブラリー」から取得した取引データを用い、まずはTXと常磐線の駅周辺の比較を行った。計量経済学的手法によって住宅属性を出来るだけコントロールし、取引額における開業の効果を実証的に分析した。
分析の結果、最寄駅から遠くなると価格が低くなるという結果が得られたが、その影響は常磐線の方がより大きいことが示された。そこで、TXの駅である「おおたかの森駅」に焦点を当てて、TX沿線、おおたかの森駅周辺、常磐線沿線のそれぞれに関する住宅価格指数を推計し、それらを比較した。分析の結果、近年ではおおたかの森駅周辺の価格指数が相対的により大きく上昇していることが明らかになった。これは、相対的に利便性の高いエリアであることが、不動産価格指数の上昇となって表れているためだと考えられる。この分析結果から、駅から離れた場所では価格上昇が小さく、「鉄道開業=地域全体の地価上昇」という単純な構造ではないことがわかった。























