実務家・識者座談会(4) 不動産投資市場は今 10年で一巡した不動産サイクル 投資家要求利回りが一人歩きも
住宅新報 2012年3月20日 号 3面
”不動産投資市場は今”を語る実務家・有識者5人による座談会3回目は、不動産価格、不動産評価に話題が集まった。Jリートをはじめ不動産投資市場の整備が進んだこの10年間は、金融市場の影響を受けながらもあるべき不動産評価、適切な不動産価格を追求してきた10年とも重なる。その模様を紹介する。
田邉氏 不動産鑑定士の意見である鑑定評価が、徐々に固定資産税などの評価額とリンクし、更にはファンドなどの不動産取引の価格の目安に用いられることになったため、実物取引にまで影響を及ぼすようになった。IFRS(国際会計基準)の時価会計がこのまま適用されれば、これからは企業収益にも直接影響を及ぼすことになる。不動産鑑定は幅広い影響力を持つようになった。
小川氏 この10年間で、一通りの不動産サイクルを経験してきた。難しいのは市場で売買事例が少ない局面での評価だ。例えば、リーマンショック後のような買い手不在の局面であっても、賃料収入は手堅い不動産が多く、単純に評価を下げられないケースも多い。逆に、今のように投資意欲は旺盛だが、売り物件が少ない局面では、価格が上がっていくプロセスを検証しながら評価していくのだが、取引自体が少ないために実証的に説明しにくい面がある。また、取得~運用~売却のフェーズで、関係者が志向する価格概念が大きく変わることも悩ましい。長期保有を前提とするリート等については、有価証券の会計処理のように「満期保有目的」と「売買目的」で価格の概念を分けてもいいのではないかという議論もあるが、目的が変わったとたんに評価額が大きく変わってしまうのは、投資家保護という観点から課題があると言わざるを得ない。

























