「長生きをしてよかった」と多くの老人が思える社会をつくるためにはどうしたらいいのだろうか。もし、これからの日本が「人間は長生きなんかするものじゃないな」と多くの老人がため息をつく社会になっていくのだとしたら、この国は二度目の敗戦をしたことになるのではないか。なぜなら、戦後再出発した日本は、アメリカ流の民主主義(個人自由主義)と経済合理主義をお手本に経済成長を遂げてきたのだから。そうやって手に入れた物質的な豊かさの代わりに、戦前までの日本人が持っていた礼儀作法、躾などの徳を失った。教育勅語にあった「恭倹己を持す」という言葉も死語になった。人としての徳を失ってしまった結果が今日的社会の退廃を招いたと思うからである。
わびしい独居
老人の一人暮らし世帯が増えている。その結果が空き家の増加であり、孤独死の増大でもある。70、80歳という年齢になって一人暮らしをする侘びしさや不安について、本人は決して人に言わない。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、後期高齢者(75歳以上)の単身世帯数は30年には470万世帯を超えるという(グラフ参照)。


















