庶事 万感 ◇11 増え始めた〝自立型サ高住〟 課題は住み替えへの誘惑づくり
住宅新報 2017年10月24日 号 11面
連載: 庶事 万感
医療技術の進歩は目覚ましい。不治の病と恐れられているアルツハイマー型認知症も、あと5年ないし10年以内には発症を事前にくいとめる画期的新薬が発明される可能性があるという(森下竜一・桐山秀樹共著『アルツハイマーは脳の糖尿病だった』青春新書)。認知症は糖尿病などの生活習慣病と深い関係があることが分かってきている。認知症にもならず、おまけに生活習慣病を回避する新たな生活習慣についてのエビデンス(証左)が明らかになってくれば、少しは明るい老後がみえてくる。本来、長生きしていてよかったと思える社会でなければ、努力して生きる甲斐もない。
少子高齢化による社会保障費の増大、格差拡大による貧困層の増加など日本社会の未来を覆う空気は冷たく重い布のようだが、認知症新薬のように、時折「明るい老後を思い描いてもいいのかな」とほっとさせられる話題にぶつかることがある。野村不動産とNTT都市開発がそれぞれ9月と10月に相次いで発表した自立型サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)もその類いのものである。
高齢者の約8割は自立しているのに、供給されている高齢者向け住宅の9割が要介護型で、自立型は1割しかないという大きなミスマッチに着目した動きがようやく始まった感がある。薬に頼らない認知症予防の本命は「気の合った人たちとの積極的交流」である。自立しているときから、自宅での一人住まいを抜け出し、同年輩の仲間と語り合えるサ高住に移り住む重要な意義がそこにある。

















