八丁堀交差点近くに団塊世代が常連にしている焼鳥屋があった。 そこが突然店を閉めたのは14年のことだったと思う。夫婦で経営する小さな店だった。当然、団体客は来ない。若者などが騒ぐ店が苦手の団塊世代にとって、そこはオアシスだった。ただ、店の主人は糖尿病で週に3、4回人工透析に通っていた。頑張ってはいても、夜の9時を回ると疲労が目に見えて分かるので客も10時頃までには引き上げていた。
主人が物静かな分、ママさんが明るく客と接する。時折主人がじっとうつむいたままの姿勢になっても、決してそこには目を向けない。その横顔は凛として美しく静かな決意が宿っているようだった。
店がいつまで続くのか誰もが心配し、一日でも長く続けてほしいと願っていた。当時〝高齢者〟になりつつあった団塊世代は、所作の一つ一つにも気品があふれ、陰で夫を支えるママさんを見ていると不思議に勇気と静かな闘志がわいてきたからである。


















