居酒屋の詩 (29) 世の中よ道こそなけれ思い入る 酒場の隅の礼節惜しめば
住宅新報 2018年12月4日 号 13面
連載: 居酒屋の詩
京成線西船駅(千葉県船橋市)の近くにある名店「今ちゃん」が(当連載に2回登場)、今年12月24日をもって閉店することになった。理由は店主の体力・気力の問題なのか、純粋に収益性悪化の問題なのか私は知らない。なぜならこの数カ月、「今ちゃん」に足を運んでいないためだ。その情報を入手したのは、先日の夜、総武線の電車内でばったり出逢った常連のSさんからである。
Sさんからその話を聞いた私は、すぐにでも再訪したいと思っているのだが、長いトンネルからなかなか抜け出せないような仕事が続いているため、今日までそれが果たせずにいる。
「今ちゃん」は私がこれまで行った居酒屋の中で最も狭い店だと思うが、常連さんたちの人情が最も濃かった店でもある。カウンターだけの店だから満杯になってから客が来ると席を詰めたり、それでも入り切れなくなると先に来ていた若者が立ち上がって、お年寄り客に席を譲ったりする。
















