知って得する建物の豆知識 265 知っておきたい椅子三脚 インテリアの方向性を左右
住宅新報 2019年6月25日 号 8面
連載: 知って得する建物の豆知識

左からアントチェア、Yチェア、スーパー・レジエーラ
かつての不動産業は土地や建物だけを販売する考え方が主流でしたが、現在ではクライアントのライフスタイルにも関わる、ソフトウェア込みの販売が主流になっており、幅広い知識がクライアントとの信頼感醸成に不可欠となっています。インテリアを支配するアイコンとなるのは壁紙やカーテンの柄ではなく「椅子」です。どのようなスタイルの椅子が置かれるかで、そのインテリアの方向性が定まるからです。今回は不動産販売に関わる者が知っておきたい椅子を三脚、紹介します。
最初は北欧のアルネ・ヤコブセン(1902~1971)の「アリンコ椅子」(Ant Chair)です。ヤコブセンは、デンマークを代表する建築・プロダクトデザイナーです。当初は画家を目指しましたが、建築の総合芸術としての面白さに目覚め、22歳でデンマーク王立アカデミー建築科に進みます。時代は「バウハウス」を中心としたインターナショナルスタイルへの移行時期で、「産業デザイン」という言葉が生まれました。
補修を隠すため ヤコブセンの代表的な椅子がアントチェアです。薄い木の板は簡単に曲げることができ、それを何枚も接着すれば曲がった厚い板を造ることができます。積層合板という手法です。この手法を使えば曲面を持った椅子を工業的に造ることができます。当初は曲面が完全には造れないため、補修部分を隠すために黒く塗装されていたのでアント(蟻)チェアと呼ばれました。























